オウンドメディアを活用して集客などを行う企業は増えていますが、これまでのBtoCを主体とする企業だけでなくBtoBのサービスや商品を販売する企業も徐々に参入を始めています。
検索による流入がメインとなるオウンドメディアは、問題をインターネット検索によって解決しようという一般消費者と相性が良かったためにブランディングや認知度向上、人材採用など幅広い目的で活用されてきました。
しかし、BtoBを対象とした商品やサービスでも商品の認知度向上やセールスは可能です。今回はBtoB企業こそオウンドメディアを運用すべき理由、その際に生じる問題点などを紹介していきます。
ぜひオウンドメディアを立ち上げる際の検討材料としください。
この記事を読んだらわかること
・BtoBのオウンドメディアは競合が少なく、Googleからの評価されやすい
・オウンドメディアと法人顧客は相性が良く、投資金額も回収しやすい
・BtoB企業がオウンドメディアを運用する際の問題点【運営体制、企画力、継続性】
・BtoBオウンドメディアの成功事例10選
オウンドメディアはSEOが重要で、上位表示されなければコンテンツを配信しても意味がありません。我々は自社でもオウンドメディアを運用することでそのノウハウを蓄積し、SEOに強いオウンドメディアの戦略から運用まで提案できますので、お気軽にご相談ください!
BtoB企業こそオウンドメディアを運用すべき理由
冒頭でも触れたように、もともとオウンドメディアはBtoC企業が運営するケースが多く、実際に売上の増加やブランディングなどを果たしてきました。
しかし、BtoB企業でも同じような成果を挙げることは可能で、むしろBtoBだからこそのメリットも存在します。ここではBtoB企業がオウンドメディアを運用すべき7つの理由を解説していくので、検討の際のヒントにしてみてください。
・競合が少ない
・専門性の高さはGoogleからも評価される
・検討期間が長いため相性が良い
・見込み客が獲得できる
・ブランディングに繋がる
・投資の回収が比較的しやすい
・広告に依存しない集客の仕組み
競合が少ない
まず1つ目の理由は競合の少なさです。BtoCのオウンドメディアは数が非常に多く、長い時間をかけて運用してきた企業も少なくないので上位表示を狙うのは容易ではありません。
しかし、BtoBのオウンドメディアは比較的少なく、最近増えてきたといってもまだまだニッチな領域です。また、独自性の高い商品やサービス、企業であればさらにライバルが減るので上位表示を狙える可能性も高くなります。
専門性の高さはGoogleからも評価される
Googleでは検索表示するサイトの評価基準にE-A-Tという評価項目を用いていて、その中のEは専門性を意味するExpertiseになります。
つまり、雑記ブログのように様々な情報が掲載されているサイトよりも特定の情報に特化したサイトを評価するということです。
BtoBのオウンドメディアとなると一般的な内容ではなく、専門性の高い情報を配信する必要があるので、BtoCのサイトよりも上位表示が狙いやすくなります。
検討期間が長いため相性が良い
オウンドメディアは長期的に運用しなければ結果が出にくいのが特徴ですが、ユーザーが企業の場合は予算の兼ね合いや決済者への確認、他社との比較検討などが必要となるため一般消費者よりも検討期間が長いです。
HPに情報を掲載するだけではそれ以上の情報は与えられませんが、オウンドメディアのように継続して情報を配信し続ければ検討期間中のユーザーにも商品に関する情報を提供して知識面の教育ができます。
見込み客が獲得できる
HPなどで製品情報を紹介するだけでは、商品名やサービス名などを知らない人はその情報にはたどり着けませんし、パンフレットを配るなどオフラインでの活動も多くの人に情報を届けるのには向きません。
オウンドメディアは製品関連の情報やユーザーが知りたい、困っていると思う事柄の解決策をまとめたコンテンツの配信によって多くの見込み客を獲得することが可能です。
また、業界内での認知度向上によって営業もしやすくなるので売上の向上にも役立ちます。
ブランディングに繋がる
継続的に情報を配信していくとユーザーからの信頼も得られるようになりますし、コンテンツを通じて他の企業との違いをアピールできると「あの商品と言えばあの会社」という共通認識が形成されブランディングが促進されます。
また、BtoBのオウンドメディアと言ってもサイトを訪問するのは企業に勤める社会人です。なので、この企業で働いてみたい思われるようになれば転職を考える際の候補となる可能性もあります。
つまり人事採用におけるコストや労力も削減できるということです。オウンドメディアを使ったブランディングに関してもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。
参考:オウンドメディアでブランディングはできるのか?気をつけたいポイントを紹介
投資の回収が比較的しやすい
BtoCの企業がオウンドメディアを運用する際にネックとなるのが投資の回収です。オウンドメディアはサイトの立ち上げに必要なイニシャルコストと運用に必要なランニングコストが発生します。
特に記事の制作を外注する際はコストも安くはないので、なかなか投資金額の回収ができません。しかし、BtoBの商材は単価が高いものが多いのでBtoCに比べると採算を合わせやすいと言えます。
ただ、オウンドメディアの成果がどの程度で出るようになるかは運用の仕方次第なので、ランニングコストにかかるコストはできるだけ多めに見積もっておく方が安全です。
広告に依存しない集客の仕組み
従来の集客方法と言えばWeb広告やダイレクトメールなどを使ったものが一般的で、広告を出す月と出さない月とで売上にも大きな差が出てしまいます。
オウンドメディアはアクセスが増えれば見込み客も増えていきますし、継続して訪問するユーザーが増えれば広告を出さずともサイト上で告知をすれば集客が可能です。
また、現在はユーザーが広告を嫌う傾向にあるため以前ほどの効果が期待できなくなっています。そういった点からも広告から脱却した集客方法の確率は重要です。
BtoB企業がオウンドメディアを運用する際の問題点
ここまではBtoB企業がオウンドメディアを始めるべき理由をメリットを交えて紹介してきましたが、オウンドメディアにはデメリットもあり、これを理解しておかなければ継続的な運用は難しいです。
ここでは以下の3つの問題点を紹介していくので、理解しておきましょう。
・運営体制の問題
・企画力の問題
・新着性、継続性の問題
運営体制の問題
オウンドメディアを運用していくためには最低限の役割を担当するメンバーが必要です。また、運営業務ではどのような作業があるかというと以下のようになります。
「メンバー」
・ライター&編集者
・編集長(プロデューサー)
・ディレクター
・デザイナー、エンジニア
・マーケター
「運営業務」
・企画構成
・執筆
・編集
・分析
一般的にはディレクターが企画を考え、それをもとにライターと編集者が記事を作り上げ、マーケターがオウンドメディアの効果などを分析しながら修正を行い、デザイナーやエンジニアが記事の装飾やサイト全体のデザインを担当します。
そして記事やオウンドメディア全体の方向性の管理や軌道修正などを行うのが編集長の役割です。
中には全て自社のスタッフが担当する場合もありますが、ライターなどある程度人数が必要な部分は外注を頼らざるを得ないケースもあります。
そのため、どこまでを自社で対応するのか、どこに外注するのかなど運営の体制をしっかりと決めておかなければサイトができたとしても運用は始められません。
オウンドメディアの運営体制について詳しく知りたい方は以下の記事がおすすめです。
参考:オウンドメディアの運用に重要な運営体制|6つのポイントも紹介
企画力の問題
オウンドメディアはコンテンツの面白さやユーザーが興味を引くかどうかで集客効果が大きく変わります。そのコンテンツ作りに欠かせないのが企画力です。
これは訓練をしていくことで上達していくスキルですが、オウンドメディア立ち上げ時に社内のスタッフで相応の企画力を持っている人がいる可能性はあまり高くありません。
ライティングや編集を請け負ってくれる業者であれば企画なども含めて考えてくれるかもしれませんが、商品に関する情報や集客したいユーザーなどをしっかりと理解しておく必要があるので、社外の人では難しい場合もあります。
新着性・継続性の問題
オウンドメディアは継続をしなければ意味がなく、途中で止めてしまうとそれまでに投資した時間やコストが全て無駄になります。
しかし、BtoBの商材の場合は商品の購入や資料請求に繋げるためのキーワードに限りがあり、企画も無限に作れるわけではありません。
また、ユーザーもニュースサイトのように定期的に情報が配信されるものという理解があるので、ネタが切れたからと言って途中で放置できないのが問題点になります。
ですので、毎月10〜20記事程度、質の高い記事を配信できる体制を整えていきましょう。
それでも半年以上は結果が出るのに時間がかかるため、長期的な計画が必要です。
BtoBオウンドメディアの成功事例10選
BtoB企業がオウンドメディアを運用すべき理由とその際に発生する問題点がわかったところで、実際に成功しているオウンドメディアの事例を見ていきましょう。
ここではそれぞれのサイトにどんな特徴があるのかなどを紹介していくので参考にしてみてください。
経営ハッカー
このオウンドメディアは会計ソフトや経理ソフトなど経営支援を行うサービスを展開しているfreee社が運営するサイトです。
会社や商品の認知度向上を図るために経営、経理、人事など企業の各担当者が知りたい情報を配信している他、レポートや資料を会員登録したユーザーに限定してダウンロードさせることで後の営業に繋げやすくしています。
また、会社設立に関する情報からまだ法人を持っていない将来的な顧客に対するコンテンツもあるなど、新規顧客の開拓にも力を入れているのでコンテンツの内容なども参考にしてみてください。
あしたのオフィス
このオウンドメディアは賃貸オフィスの紹介を行う株式会社ボルテックスが運営をしていて、配信している情報は快適なオフィスのレイアウトやレンタル事務所のメリット、デメリットなどです。
オフィスの移転を考える際に気になるポイントをメソッド化して企業の担当者に知識を与え、各エリアごとのおすすめ物件の紹介で自社への問い合わせに繋げています。
なかなか競合の多い業界ですが、ユーザーの知りたい情報をしっかりと把握して制作されたコンテンツが豊富なので参考にしてみてください。
ferret
このサイトはマーケティングツールやフォームの作成ツールなどマーケターを対象としたサービスを提供する株式会社ベーシックのオウンドメディアです。
マーケターが興味を引きそうなSEOやWeb広告、LPに関してなどマーケティング関連の情報が豊富なほか、初心者向けのマーケティング入門のようにユーザーの知識レベルに応じてコンテンツが分けられています。
経営ハッカーと同様に会員登録したユーザーには各種マーケティングのガイドを提供するなど営業に役立てる仕組みのできたオウンドメディアです。
LIGブログ
Web制作などを行うLIG社は「LIGブログ」というオウンドメディアを運営していて、配信されているコンテンツは自社の事業内容に関連するものがメインです。
同社の事業内容は多岐に渡りBtoB以外にもゲストハウスや教育、飲食店の経営などBtoC事業も行っているので、企業の担当者と一般ユーザー双方をターゲットとした情報を配信しています。
サイトもHPとオウンドメディアが複合した形となっていて、自社への問い合わせだけでなく採用にも繋げられる設計となっているのでチェックしてみてください。
バーコード講座
https://www.keyence.co.jp/ss/products/autoid/codereader/
このオウンドメディアは各種センサーや測定機器などのメーカーであるキーエンス社が運営していて、バーコードの仕組みに特化した情報を配信するサイトです。
オウンドメディアの目的は資料のダウンロードによって会員情報を集める、問い合わせをしてもらうという2つとなっていて、どちらも営業に繋げるためのツールとして活用されます。
また、最大の特徴はこのサイトが定期的に情報を配信して集客する「メディア」ではなく、ユーザーが必要になった時に閲覧するコンテンツを蓄積するインデックス型のサイトという点です。
テレアポ職人
https://www.saaske.com/telapo/column/index/
クラウドサービスを提供しているインターパーク社は「テレアポ職人」というオウンドメディアを運営していて、そこでは営業に使えるテクニックや心理学、ツールの紹介が行われています。
主に同社の「サスケ」というサービスに繋げるためのコンテンツが中心ですが、テレアポは通常の営業よりも難易度が高いため、そのテクニックなどを知りたいユーザーは少なくありません。
ユーザーが知りたいと思う情報を提供しファンを作っていくというオウンドメディア戦略の王道を行くサイトになっています。
Tech-Compass
このオウンドメディアはCPUクーラーなどのメーカーである山洋電機が運営していて、「バーコード講座」と同様にインデックス型のサイトになっています。
コンテンツの内容は同社製品の活用事例や無料のレポートなどを使った自社の技術に関する情報がメインです。こうした情報から自社への問い合わせやメールマガジン登録へと繋げています。
オウンドメディアでは専門的な情報を配信し、定期的な情報の配信はメールマガジンで行うというのも一つの手段なので参考にしてみましょう。
plasticfilm-labo.com
http://www.plasticfilm-labo.com
このサイトは機能性フィルムのメーカーであるパナック株式会社の運営するオウンドメディアで、フィルムの基礎知識から自社で提供している各種フィルムの紹介などを行っています。
製品情報の紹介から問い合わせに繋げるというシンプルな仕組みですが、ユーザーから「こんなフィルムがあったらいいな」というアイデアを募集し新製品に役立てるなど営業に繋げる以外の目的も持ったオウンドメディアです。
独自性のある商品があったり、自社の強みをオウンドメディアで推していく際はこのサイトを参考にしてみてください。
ソーシャルメディアラボ
https://gaiax-socialmedialab.jp/service/
ソーシャルメディア事業などを展開するガイアックスは「ソーシャルメディアラボ」というオウンドメディアを運営しています。
コンテンツはTwitterやFacebookなどのSNSの基本的な使い方や用語解説といった初心者向けのものからマーケターに向けのソーシャルメディアのアルゴリズム解析といった専門性の高いものまで様々です。
他にもマーケティングに役立つ資料を会員登録したユーザーだけに公開するなど資料請求や問い合わせから営業へと役立てています。
ばね探訪
https://tokaibane.com/bane-tanbo/
このサイトはバネやスプリングの製造を行う東海バネ工業が運営するオウンドメディアで、同社の歩みや同社製品が使われている現場を取材したコンテンツを配信しています。
どのコンテンツも読み物風にして複数回に分けて紹介することで連載小説のようにスラスラと読み進めながら同社に関連する知識を深められるのが特徴です。
オウンドメディアで実績や企業の思いなどを伝える際に参考になるコンテンツが多いのでチェックしてみてください。
まとめ:BtoB企業は優先してオウンドメディアを運営しよう
今回はBtoBの商材を提供する企業こそオウンドメディアを運用すべきという話をしてきました。その理由はBtoC企業に比べて競合が少ない、検討期間が長い法人の顧客と相性がいい、投資の金額を回収しやすいといった利点があるためです。
他にもBtoCと同様にブランディングや広告に依存せずに集客できる点や特化ブログがGoogleからの評価を受けやすいので、オウンドメディアの活用によって十分な成果が見込めます。
ただ、運営体制を整えたり企画構成ができる担当者の育成、そして継続的な運用も不可欠です。体制が整っていない状態でオウンドメディアを立ち上げてもコストがかかるばかりで利益は出ません。
もしリソースやノウハウが足りない場合は弊社のような専門家にご相談ください。
この記事のおさらいポイント
・BtoBのオウンドメディアは競合が少なく、投資金の回収もしやすい
・ブランディングや広告費をかけずに集客ができる
・法人の顧客は比較検討に時間がかかるので長期戦略が不可欠なオウンドメディアと相性がいい
・継続的に運営するためにライターや編集長、ディレクターなどの役割分担が必要
・定期的に新着記事を配信しなければならず、途中でやめるのも難しい
オウンドメディアはSEOが重要で、上位表示されなければコンテンツを配信しても意味がありません。我々は自社でもオウンドメディアを運用することでそのノウハウを蓄積し、SEOに強いオウンドメディアの戦略から運用まで提案できますので、お気軽にご相談ください!