オウンドメディアは集客やブランディングを目的として制作される媒体です。一般的なオウンドメディアは企業が求める成果を出すために「コンテンツの質」「キーワードの選定」「SEOライティング」など多くの技術的な要素を優先する傾向にあります。
しかし、それよりも大切なのはオウンドメディアのコンセプトを固めることです。コンセプトとはいわゆるテーマのことで、ユーザーが求める結果と企業が提供する商品やサービスをつなぎ合わせる役割を果たします。
コンセプトが固まっていなければ、いかに技術面に力を入れたとしてもユーザーに響きにくくなりますが、今回はその理由やコンセプトの設計方法について解説をしていきます。
この記事を読んだらわかること
・コンセプトを決めたほうがいい理由【統一性が生まれる、指名検索されやすくなる、ブランド構築ができる】
・コンセプトの設計方法
・オウンドメディア立ち上げ時点でキーワード選定やペルソナ設定を詰めておくことが重要
・オウンドメディアのコンセプト参考事例
・コンセプトを設計しオウンドメディアに統一性をもたせることが重要
オウンドメディアはSEOが重要で、上位表示されなければコンテンツを配信しても意味がありません。我々は自社でもオウンドメディアを運用することでそのノウハウを蓄積し、SEOに強いオウンドメディアの戦略から運用まで提案できますので、お気軽にご相談ください!
オウンドメディアのコンセプトとは?
前述したようにオウンドメディアのコンセプトとはサイト自体のテーマのことを指します。テーマとはオウンドメディアがどんなサイトなのかをユーザーに知ってもらうためのものです。
また、テーマがあることでサイトに統一感をもたせることができる上に、一方通行になりがちなWebを使ったビジネスにおいて企業が提供したい情報とユーザーが知りたい情報をつなぐ役割を果たします。
テーマの決め方はユーザーのニーズとプロダクトやサービスをかけ合わせる方法や事業部の思いをベースにコンセプトを立てるなど様々です。ただ、いずれの場合もシンプルに設計をしてユーザーがわかりやすいものを目指しましょう。
オウンドメディアのコンセプトを決めた方がいい理由
コンセプトとはサイトのテーマであると述べましたが、コンセプトは必ず決めなければいけないのかという疑問も浮かぶと思います。実際にコンセプトを決めていないオウンドメディアもありますし、コンセプトがなくても運用は可能です。
ただ、コンセプトは決めた方がスムーズに運用することができるので、特別な理由がない限りは決めるべきと言えます。なぜスムーズに運用できるかは以下のような理由からです。
・オウンドメディアに統一性が生まれる
・指名検索されやすくなる
・ブランド構築としても有効
ここではそれぞれの詳細を詳しく解説していきます。
オウンドメディアに統一性が生まれる
オウンドメディアを使ってマーケティングをしていく上で、どういったコンテンツを作っていくかという方向性は欠かせません。コンテンツを運営、編集していくチームがそれを把握しておかなければ内容にバラツキが生じてしまうからです。
また、コンセプト設計とペルソナ設計や市場分析などを元にした戦略を組み合わせることで方向性が明確なるので、チーム内の共通認識が強化され様々なシーンでの意思決定の際にも役立ちます。
指名検索されやすくなる
指名検索されるとは、ユーザーに「この件で困ったらあのメディアを見よう」と思ってもらうということです。コンセプト設計を行い統一性のあるメディアになるとファンができ、繰り返し訪問してもらえるようになります。
反対にコンセプトがない場合は、SEOなどで検索流入を得ることはできるものの、ファンになってもらうことは難しいです。
「高級時計といえば」「高級外車といえば」の答えのように、「○○の分野=自社のオウンドメディア」という認識を持ってもらうためにもコンセプトを決めてファンを増やしていきましょう。
ブランド構築としても有効
コンセプト設計をするということは、ユーザーに対して「あのメディアにいけばこうした情報が得られ、この問題が解決できるから訪問しよう」などの大義名分を与えるということです。
こうした理由があることでユーザーは訪問しやすくなり、サイトも認知してもらえるようになります。前述したように訪問を繰り返すことでファンとなってくれる人が現れ、その人数が増えていくことでブランド構築になります。
ブランディングは集客力やコンバージョンを上げる上で欠かすことができないので、しっかりとコンセプトを決めて認知してもらえるメディアを作りましょう。
オウンドメディアのコンセプトの設計方法
コンセプトを設計するメリットがわかったところで、実際の設計方法について解説していきます。コンセプトを設計するためには自社の分析から始めなければいけません。
それはサービスのことであったり、強み、メディアを立ち上げたときの思いなど様々な要素から分析し、優先順位を決めてコンセプトを作り上げていきます。
ここではそのステップについて、以下の手順で説明をしていくので参考にしてください。
・自社の課題を再確認
・自社の強みやウリを再確認
・メディアを作るに至った想い
・サービスやプロダクトのユーザー層(ニーズ)を確認
・優先順位を決め、それぞれを掛け合わせる、もしくは軸にする
自社の課題を再確認
まずコンセプトを設計する第1段階として自社の課題を見つめ直します。その際に注意する点としては「オウンドメディアを度外視した企業自体の課題」「オウンドメディアで解決したい課題」の2つを認識することです。
オウンドメディアを度外視した課題とは、「競合と比べて認知度が低い」「売上規模が小さい」「若い世代のユーザーが少ない」などの企業自体が抱えている問題のことで、できるだけ統計などの数字を元にしたデータを使って導き出してください。
その次に「認知度の向上」「ECサイトからの売上増加」「ターゲットとしていながらもリーチしていない層の顧客化」などオウンドメディアを使って解決したい事柄を挙げます。
自社の強みやウリを再確認
課題を再確認したら自社の強みやウリについて検討します。強みやウリは他社との差別化の材料であり、企業の特徴をアピールする重要なポイントのことです。
「価格」「ターゲット層」「重量やサイズ」「用途」など他社商品や類似サービスとの違いを客観的に比較することで、強みやウリが見えてきます。
これがオウンドメディアでどんな内容を配信するかという軸になるので、方向性をぶれさせないためにも商品やサービスの良さや特徴などを過大に評価しすぎないよう注意しましょう。
メディアを作るに至った想い
メディアを作ろうとした想いもコンセプト設計には重要です。そうした想いが生まれる背景には現在企業が置かれている状況や市場の問題などフラストレーションを抱えているポイントがあります。
例えば商品の制作秘話や企業のビジョンなどあまり表にならない部分を知ってほしい、競合が運営しているオウンドメディアの情報は上辺ばかりなので正しい情報を配信したいなどです。
ブランディングや人事採用など目的によっては、こうした要素に共感してくれたユーザーをファンとして取り込むことができるので、コンセプトに加えるようにしましょう。
サービスやブロダクトのユーザー層(ニーズ)を確認
この工程では現在のプロダクトやサービスを利用しているユーザー層や現状ターゲットとしているユーザー層を確認します。これは誰に向けたコンテンツなのかが明確でなければユーザーには響かないためです。
その際に「成人男性」などの曖昧な人物像ではなく、「20代男性、賃貸を探しているユーザー、働き方を柔軟に変えていきたいユーザー」のように具体的に設定しましょう。
また、現状のユーザーとターゲットがあまりにかけ離れているようであれば、ターゲット層の見直しも必要です。
最後に優先順位を決め、それぞれを掛け合わせる、もしくは軸にする
ここまで紹介した手順を全て行ったら、それぞれの要素に優先順位を決めて順位の高いものからコンセプトにしていきます。もしくはそれぞれの要素を掛け合わせたり、軸にしてコンセプトを決めることも一つの方法です。
例えばスーモを運営しているリクルートのオウンドメディア「スーモジャーナル」のコンセプトは「まだ見ぬ暮らしを見つけよう」です。
これはメイン事業である「不動産売買・住宅購入・賃貸・リフォーム情報」と強みである「全国各地に拠点があり各地域に根ざした経営」、さらに「賃貸を探しているユーザー」というターゲットがうまく掛け合わされています。
コンテンツは各地域の特徴などを紹介する記事や不動産購入に関する知識、賃貸の注意点などが多いので、家に関して知りたいことがあればすぐに情報を仕入れることが可能です。
また、実際に部屋を探したい場合はスーモのリンクへ飛ぶだけと、コンセプト設計からコンバージョンへの導線の引き方まで見事としか言いようがありません。ぜひ、こうした事例を参考にコンセプトを設計していきましょう。
社内にノウハウがなければ、専門家に相談して進めていくことをおすすめします。
オウンドメディアのコンセプト参考事例
ここでは前述したスーモジャーナルのように参考となるオウンドメディアの実例を紹介していきます。どのようなコンセプトになっているか、どんなコンテンツを配信しているかなどをまとめているのでぜひ参考にしてみてください。
新しい働き方と暮らし方のためのメディア「SAISON CHIENOWA」
https://corporate.saisoncard.co.jp/diversity/
大手クレジットカード会社であるクレディセゾンが運営するオウンドメディアで、以前は独立したサイトでしたが、現在はコーポレートサイト内のコンテンツの一つとなっています。
コンセプトは「新しい働き方・暮らし」で、コンテンツの内容はスマートワーク・キャリアといった働き方や同社の社会的な取り組みなどが中心です。
ダイバーシティ&インクルージョンというキャッチコピーにあるように、社員が価値を創造する企業を目指し様々な取り組みをしていますが、そこで培った経験などの強みを軸にしたコンセプト設計になっています。
コンテンツは社内の取り組みや理念などに関する内容が多いので、ブランディングや認知度の向上、他社との差別化、人材採用を目的とする場合は、こうしたコンセプトを参考にしてみましょう。
新しい価値を生み出すチームのためのメディア「サイボウズ式」
https://cybozushiki.cybozu.co.jp
仕事を効率化するためのサービスを展開しているサイボウズ社が運営しているオウンドメディアで、「新しい価値を生み出すチームのための、コラボレーションとITの情報サイト」がコンセプトです。
この企業は働く時間や場所を自由に選べるという新しい働き方を採用していますが、こうした強みやウリと自由な働き方がしたいというユーザー層を掛け合わせたコンセプト設計になっています。
コンテンツも働き方に関するものや会社や仕事などに関するものが多く、サイトの下部には採用ページのリンクがあることから人事採用が目的と推測ができるので、同じく人事採用を目的とする場合はこうしたコンセプトを参考にしましょう。
翼を授けるためのメディア「Red Bull」
https://www.redbull.com/jp-ja/
清涼飲料水でお馴染みのRed Bullが運営するメディアで、コンセプトは「翼をさずける」です。同社は「ブランド認知と体験の場づくり」というマーケティング戦略があり、音楽フェスやエアレースといった様々なイベントを主催しています。
コンセプト設計はそうした強みと活動内容の周知という企業の持つ課題、スポーツや文化が好きなユーザー層を掛け合わせて設計されていて、コンテンツも各種スポーツや文化などイベント関連の話題が深く掘り下げられていることが特徴です。
ブランド構築や認知度の向上という点ではRed Bull社のコンセプト設計がおすすめなので、ぜひ参考にしてみてください。
名刺管理に役立つ情報を配信するメディア「名刺管理Hacks」
https://meishihacks.com/
これはクラウド上での名刺管理サービスを提供するSansan社が運営するオウンドメディアで、「名刺管理サービスの比較から新しい働き方の提案まで」がコンセプトです。
コンセプト設計はサービスの認知と新規ユーザーの増加という企業の課題と名刺管理に関する豊富な知識という強みを掛け合わせた内容になっていて、コンテンツも仕事術や名刺管理に関する情報が多く掲載されています。
ブランド構築や指名検索がされやすい内容になっているので、独自のノウハウや知識など特徴的なコンテンツが作れる場合は、こうしたコンセプト設計もおすすめです。
まとめ:コンセプトを設計しオウンドメディアに統一性を持たせよう
今回はコンセプト設計について解説をしてきましたが、コンセプトはなくてもオウンドメディアの運用は可能です。ただ、コンセプトがあるとメディアに統一性が生まれ、そこからファンも増えていくようになり、それがブランド構築に繋がります。
また、コンセプトは自社の持つ課題やユーザーが持つ解決したい問題などを元に設計するので、結果的に集客やコンバージョン率を上げるといったオウンドメディアの目的を果たすことが可能です。
オウンドメディアの成功はコンセプト設計にあるといっても過言ではないので、ぜひ今回紹介した内容を元にコンセプト設計をしましょう。
この記事のおさらいポイント
・コンセプトを決めることで統一性が生まれ、指名検索されやすくなり、ブランド構築ができる
・コンセプトは企業の課題、強みやウリ、企業の想い、ユーザー層という要素をかけ合わせたり軸にすることで作る
・コンセプトの内容はオウンドメディア立ち上げの際に詰め切っておく
・統一性のあるコンセプトにすることでファンができ、ブランド構築に繋がる
オウンドメディアはSEOが重要で、上位表示されなければコンテンツを配信しても意味がありません。我々は自社でもオウンドメディアを運用することでそのノウハウを蓄積し、SEOに強いオウンドメディアの戦略から運用まで提案できますので、お気軽にご相談ください!