インターネットビジネスを展開していくBtoC企業にとって、今やコーポレートサイトやECサイトは欠かせないものとなりました。
現在、国内のWeb業界ではコーポレートサイトとECサイトが分かれているケースが主流ですが、Webビジネスが日本より進んでいる欧米では統合されているケースもあり、国内でも統合する企業が出てきています。
そのため、コーポレートサイトとECサイトの制作において、分けた方がいいのか?統合した方がいいのか?と選択肢に迷ってしまう企業も少なくありません。
今回は、コーポレートサイトとECサイトを分けた方がいいのかどうか?わからない人のために、双方のメリットや分けた場合の事例を紹介していきます。
この記事を読んだらわかること
・コーポレートサイトとECサイトを統合するメリット
・コーポレートサイトとECサイトを分けるメリット
・コーポレートサイトとECサイトを分けている事例
コーポレートサイトは、企業の特徴を魅力的に伝えながら、目的に適したサイト制作が必要です。
弊社は、初めてコーポレートサイトを作る方やリニューアルを考えている方など、幅広いお客様への制作に対応できますので、お気軽にご相談ください!
コーポレートサイトとECサイトの違い
コーポレートサイトとECサイトを統合するか分けるかを考える前に、まずはそれぞれの目的と役割を解説していきます。両者の違いについてしっかりと理解していきましょう。
コーポレートサイトの目的・役割
コーポレートサイトとはいわゆる企業のホームページです。
以下のような企業そのものに対する情報を伝える役割があります。
- どんな会社なのか
- どんなサービスを提供しているのか
- どんな組織体制か
- 所在地や社員数
- どのような社会活動をしているか
- 経営状況はどうなっているか など
目的は人材獲得や投資家へのアピール、ブランディングなど企業によって様々です。またサービス内容と統合したサイトや、サービス内容とは別にコーポレートサイトを用意している企業など、形態も様々です。
ECサイトの目的・役割
ECサイトの最大の目的は商品を売ることです。
ECサイトは、自社商品を購入してもらう店舗のような役割を担っていて、サイト内で決済できる仕組みがあるかどうかも大きなポイントと言えるでしょう。
業種によってECサイトは、楽天市場やAmazonなどの大手ECモールと連携ができるという強みもあります。
ただし、発注を受け配送するなどの運営・管理体制や、顧客情報を守るためのセキュリティ機能などを完備する必要があり、システムや設計などの予算がコーポレートサイトよりもかかります。
コーポレートサイトとECサイトを統合するメリット
コーポレートサイトとECサイトの違いがわかったところで、両者を統合するメリットを見ていきましょう。統合するメリットには、以下の3つがあります。
- 会社のブランディングと商品販売を同時に行える
- 運営の手間が少ない
- SEO対策に繋がる
会社のブランディングと商品販売を同時に行える
コーポレートサイトとECサイトを統合することで、商品がそのまま企業のPRに繋がります。
例えば、商品名で検索しているユーザーは、企業に興味を持ってくれる可能性が高く、反対に企業について調べているユーザーは商品に興味を持つ可能性が高くなります。
つまりどちらも企業や商品のファンとなり、継続的な売り上げに貢献してくれる優良顧客となり得ます。
よく、『この商品はこの会社が作っていたのか』と商品だけが一人歩きし、商品と企業が結びつかないケースは少なくありません。統合していれば、このようなケースを減らせます。
運営の手間が少ない
サイトを1つ運営するには、以下のような様々な管理や運用が必要になります。
- ドメイン管理
- サーバー管理
- アクセス分析、解析管理
- ページ更新
- 商品管理など
つまり、コーポレートサイトとECサイトを分ければ、管理・運用作業が2倍に膨れ上がり、諸々の経費も2倍かかります。
双方を統合してしまえばこれらの手間や経費を省けるので、管理や運用が楽です。
SEO対策に繋がる
しかし、ECサイトとコーポレートサイトを統合するメリットとして、SEO効果も挙げられます。
コーポレートサイトは一般的にECサイトよりもコンテンツ量が少ないです。
この場合、検索エンジンにインデックスされるコンテンツ自体が相対的に少ないため、仮に何かのキーワードで上位表示されたとしても、流入数には限界が生じます。
しかし、ECサイトと統合することでコンテンツ量が増えれば、検索エンジンからの評価が上がり上位表示される可能性は高まります。
そして、上位表示されたコンテンツが増えた分だけ、検索エンジンからの流入数増加が見込めるのです。
コーポレートサイトとECサイトを分けるメリット
続いて、コーポレートサイトとECサイトを分ける場合の3つのメリットを解説していきます。
- ブランド力が高まる
- ユーザー属性が絞れる
- ECサイトを複数所有できる
ブランド力が高まる
コーポレートサイトとECサイトを統合した場合、ECサイトの商品が有名になってしまうと、企業に対する先入観を持たれる可能性があります。
例えば、『株式会社ダスキン』と言われれば誰でも掃除商品を展開している企業だと思い浮かびますが、実は『ミスタードーナッツ』などフード業界でも展開しています。
また、防犯対策で有名な『セコム』では食品通販もしていますし、音楽事業やバイクでおなじみの『ヤマハ』ではリゾート施設も運営しています。
この場合、ECサイトとコーポレートサイトを統合すると、『企業名=あの商品』となってしまうため、本来のブランディングが難しくなる可能性があるのです。
ユーザーが絞しぼれる
コーポレートサイトは、購買目的のユーザーが多いECサイトとは違って様々なステークホルダーが訪れます。
【コーポレートサイトにアクセスするユーザー例】
- 新卒・中途など採用希望者
- 株主
- 見込み顧客
- 既存顧客
- 取引先
- 社員やスタッフ
- 行政機関
- メディア関係者など
そのためコーポレートサイトとECサイトを統合していると、詳しい事業内容を知りたい株主や、詳しい業務内容や社内雰囲気を知りたい採用希望者への訴求が合わなくなる可能性があります。
たとえ目的のページが用意されていても『お客用のECサイトだ』と思われてしまうと、そのページまでたどり着かず離脱してしまう可能性もあるでしょう。
コーポレートサイトとECサイトを分ければ、ユーザーを絞ってアプローチできるため、人材獲得などの目的を達成しやすくなります。
ECサイトを複数所有できる
コーポレートサイトとECサイトを統合した場合、良くも悪くもデザインが固定されてしまいます。そのため、新ジャンルの業界に参入しようとした際に、コーポレートサイトとのイメージになかなかそぐわなくなる可能性もあります。
例えば20代男性向けの商品を販売していて、女性や子供にも広げようとした場合は、できるだけ女性や子供に合わせたデザインを使う必要があります。
しかしコーポレートサイトとECサイトが統合されていると、サイト内でのジャンル分けが難しくなりますし、別のサイトを立ち上げるにも既にある統合サイトとの兼ね合いが困難になるでしょう。
コーポレートサイトとECサイトを分けることで、元々のジャンルとは全く異なった事業のサイトやECサイトをいくつも所有できるようになります。
ECサイトは決済機能やUI・UXなど独自の要素が必要になるため、統合してしまうと違いに制約を受けてしまうためです。
SEO的には互いにリンクを送り合えば、Googleが認識してくれるので、そこまで心配する必要はありません。
コーポレートサイトとECサイトを分けている代表例
ここからは、コーポレートサイトとECサイトを分けている事例を紹介していきます。
株式会社良品計画
https://ryohin-keikaku.jp/
『株式会社良品計画』では、世界中に展開する『無印良品』の商品販売だけでなく、カフェ・ミールやキャンプ、建設など様々な事業を展開しています。
そのため事業ごとに専用サイトを設けていて、コーポレートサイトが全ての事業サイトへのハブ的役割を果たしているのが特徴です。
その他にコーポレートサイトでは、他の事業サイトでは掲載していない採用情報やIR情報など、ステークホルダーをターゲットに絞り込んで情報発信しています。
無印良品
https://www.muji.net/store/
対してECサイトでは、『無印良品』ブランドを好む全ての見込み顧客や顧客をターゲットに運営されています。
サイトには商品が全て掲載されていて、近隣の店舗になかった場合や店舗まで出向けない事情があっても購入可能な点がユーザビリティを高めています。
またコーポレートサイトとは違い、運営しているキャンプ場や物件の紹介も積極的に行われていて、『無印良品』ブランドが好きなユーザーに高いブランド体験を提供しています。
株式会社ベガコーポレーション
https://www.vega-c.com/
大人気家具・インテリアショップ『LOWYA』を運営する株式会社ベガコーポレーションも、コーポレートサイトとECショップを分けている企業の一つです。
求職者向けのリクルート情報はまた別途専用サイトが設けられていて、コーポレートサイトでは主に、投資家やメディア関係者などをターゲットに事業内容やIR情報、メディア情報などを掲載しています。
また商品情報が中心のECサイトとは違い、ファーストビューで企業内の雰囲気やグローバル展開がわかる動画が使用されており、商品だけではわかりづらいブランディングに力を入れています。
LOWYA
https://www.low-ya.com/
対してECサイトの『LOWYA』では、コーポレートサイトのような世界展開やメディア掲載情報などの企業アピールは一切ありません。
商品掲載から利用ガイド、旬のアイテム紹介などに至るまで、見込み顧客や顧客の目線に立ったサイト設計がされています。
家具やインテリア商品をARで自宅に試し置きできるサービスも展開されていて、実店舗などでは得られないユーザー体験を提供しているのも魅力の一つです。
ニトリホールディングス
https://www.nitorihd.co.jp/
同じく家具・インテリア商品を展開している『ニトリホールディングス』もコーポレートサイトとECサイトを分けています。
コーポレートサイトでは主に投資家や求職者をターゲットに、企業紹介やIR情報、採用情報などを掲載。特にテキストの説明だけではイメージしにくい事業規模や成長性を、数字を使って客観的に理解できるようにアピールしています。
また、高齢者も多い投資家に向けて文字サイズを調整できる機能を搭載するなど、ターゲットのユーザビリティを高めている点にも注目です。
ニトリネット
https://www.nitori-net.jp/ec/
『ニトリ』のECサイトでは、商品情報とともにメンバーズカードやポイント制度を導入し、お得な商品をさらにお得に利用してもらうための工夫がされているのが特徴です。
また非常にわかりやすいご利用案内ページや、別途運営されている『お客様サポート』の専用サイトへの直リンクなど、ITリテラシーが低い顧客層でも安心して利用できる環境づくりがされています。
まとめ:コーポレートサイトとECサイトは目的に応じて分けよう
コーポレートサイトとECサイトは、分けても統合してもメリット・デメリットがあります。そのため、目的や運用方法を明確にする必要があります。
例えば、今後様々な分野で事業展開する可能性があるなら、経費や手間がかかっても分けた方がブランディングをしやすいです。
しかし社内リソースが不足していたり、スタートアップ企業でSEO効果やアクセス数を短期間で伸ばしたいなら、統合した方がメリットが大きいでしょう。
また、最初は統合していて後々事業が拡大されていくうちに分けるという方法もあります。
そういった可能性がある場合は、ドメイン名を取得する段階で後にサイト移転する可能性も考慮する必要があります。
このように、現時点でどのような目的があるのか?今後どのように運用していくか?をよく考えて、目的に応じて統合するか分けるかを決めていくことが重要なのです。
この記事のおさらいポイント
・統合するメリットは、手間を省きブランディングとSEO対策が並行して行える
・分けるメリットは、適切なターゲティングや新事業参入後の管理、企業自体のブランディングが容易
コーポレートサイトは、企業の特徴を魅力的に伝えながら、目的に適したサイト制作が必要です。
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