ECサイトといえば、一般的に企業が個人に商品を販売するスタイルをイメージすることが多いでしょう。しかし現在は、リアルやオンラインの垣根を超えた様々なECサイトのビジネスモデルが生まれてきています。
もちろん、従来の基本的なビジネスモデルも悪くありませんが、もし自社サービスや商品のジャンルが新たなビジネスモデルで展開できるなら、成果アップや効率化のためにも導入するのが得策でしょう。
今回は、ECサイトで自社サービスや商品ジャンルを展開していきたい人のために、今流行りのビジネスモデルから近未来に流行るビジネスモデルまで紹介していきます。
この記事を読んだらわかること
・現在のECサイトのビジネスモデル
・未来のECサイトのビジネスモデル
ECサイトは、一から構築すると莫大な費用がかかってしまいますが、弊社はWordPressを使用し、最小限に費用を抑えたECサイトの構築が得意です。ECサイトの制作で費用が気になるという方は、お気軽にご相談ください!
ECサイトにおける基本的なビジネスモデル
まず、基本的なビジネスモデルを確認しておきましょう。以下の5つは、ECサイトに限らず多くのビジネスに当てはまるものです。
- BtoB
- BtoC
- CtoC
- CtoB
- D2C
BtoB
BtoBとは『Business to Business』の頭文字をとった略称で、企業が他企業をターゲットに行うビジネスです。BtoBでECサイトを展開する場合、以下のようなタイプに分けられます。
- クローズド型:既存顧客のみに対応
- マルチ型:不特定多数の企業を対象
- マーケットプレイス型:ASPに受注や配送などを任せる
この中で、マルチ型やマーケットプレイス型のような卸売販売なら、BtoCのようなECサイト展開が可能です。以下の『MISUMI-VONA』や『モノタロウ』がそれらのジャンルに当たります。
https://jp.misumi-ec.com/
https://www.monotaro.com/
ただしBtoBサービスや商品は、従来から独自の取引プロセスがあったり担当者とのコミュニケーションが必要な場合も多く、マルチ型のような一般的な機能だけでなく取引プロセスに合わせたシステム構築が必要です。
BtoC
BtoCとは『Business to Consumer』の頭文字をとった略称で、企業が個人ユーザーに商品やサービスなどを提供するビジネススタイルです。
BtoCのECサイトは最も一般的で、『Amazon』や『楽天市場』のようなショッピングモール型から『無印良品』や『ニトリ』のような自社型など、様々なタイプあります。
既に特定地域で実店舗を構えている場合でも、ECサイトを導入すれば新たな実店舗を展開せずに販路を全国に広げたり、24時間販売が可能となります。
CtoC
CtoCとは『Consumer to Consumer』の頭文字をとった略称で、個人が個人ユーザーを対象に商品・サービスを提供するビジネススタイルです。
ECサイトでは、『メルカリ』『ヤフオク』『ラクマ』などのように、企業ではなく一般の消費者が所有する物をサイト上で販売し、同じように一般消費者が購入していきます。
販売するものは、中古品や不動産などのようにユーザー自身が不要になったものから、個人の制作物やノウハウまで様々。従来のフリーマーケットのようなビジネス形態はWebの発達により拡大してきています。
CtoB
CtoBとは『Consumer to Business』の頭文字をとった略称で、一般消費者である個人が企業をターゲットに展開するビジネス形態です。
近年働き方の多様性が広がり、フリーランスや特技を持っている個人などが企業へサービス・商品を提供するビジネススタイルが定着してきました。
例えば、スキルのある主婦層が企業へWebデザインやコンテンツなどを提供したり、個人がプログラミングスキルやマーケティングスキルを提供するといったビジネススタイルがそれに当たります。
ECサイトでは、個人が撮影した写真や動画や画像などを企業に販売する『ピクスタ』や『ShutterStock』といったサービスが展開されています。
D2C
D2Cとは『Direct to Consumer』の頭文字をとった略称で、メーカーや生産者が卸売業者や店舗などを介さずに、ECサイトで直接ユーザーに販売する形態です。
このスタイルを展開している企業には、『Apple』や『ユニクロ』などがあります。いずれも中間業者を通さないことで手数料などを削減して、高品質で低価格の商品提供を実現している点がポイントです。
メーカーが直接ユーザーとコミュニケーションをとりながらユーザーに合わせた商品開発をしたり、メーカー主体でのブランディングも可能です。
ECサイトは単なるサイトではなく、リアル(実店舗)との連携によってさらに可能性が広がります。
現在のECサイトビジネスモデル
基本的なビジネスモデルを確認したところで、ここからは時代の流れと共に進化してきた現在の代表的なビジネスモデルを5つ紹介していきます。
- 実店舗×自社ECサイト
- ECモール×自社ECサイト
- O2O
- オムニチャンネル
- 越境EC
実店舗×自社ECサイト
『実店舗×自社ECサイト』は、自社ECサイトを制作して実店舗と合わせて運営するビジネスモデルで、実店舗で既に有名な企業であれば、その知名度によってECサイトでも手軽に集客できます。
ただし、自社ECサイトを立ち上げる際、『カニバリズム』が起こる可能性があるので注意が必要です。『カニバリズム』とは、市場で自社の商品や店舗が競合し『共食い状態』になることを指します。
実店舗とECサイトのカニバリズムでは、顧客がECサイトへ流れることで実店舗の売り上げが下がったり、総売上が上がって業績がアップしたように見えても、経費や作業面からみてマイナスだったりというケースがあります。
そのため、カニバリズムを起こさずに利益を向上させるための施策が必要です。
ECモール×自社ECサイト
Amazonや楽天市場など『ECモール』と呼ばれるサイトにも出店して、自社ECサイトと連携するビジネスモデルです。
販売チャンネルを拡大することで、それぞれのECモールを利用している新規ユーザーの囲い込みや、いずれかの販売チャンネルでトラブルが生じた際のリスク回避などが可能となります。
ただし、ECモールは集客面でメリットが大きい分、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。
- 出店料や手数料などのコストがかかる
- 規約の制限が多い
- 各販売チャンネルでの商品・受注・サイト管理など手間がかかる
こういったデメリットをカバーするためにも、資金力や管理する人材など社内リソースが確保された状態で取り組むことが重要なポイントです。
O2O
近年、『O2O』のビジネスモデルも増加していきています。
『O2O』とは『Online to Offline』の頭文字をとった略称で、ECサイトに限らずWeb上のユーザーを実店舗へ誘導させていくビジネスモデルです。
O2Oによって、前述した『実店舗×自社ECサイト』で発生しがちな『実店舗の売上低下』をある程度カバーできます。
現在は、FacebookやTwitterといったSNSやスマートフォンのGPS機能の登場により、O2Oの施策が以下のように多様化してきています。
- 実店舗で使えるクーポン配信
- 実店舗の利用で得られるポイントバックなど
例えば、吉野家やマクドナルドなどは公式サイトやSNSの公式アカウントに限らず、メルマガ・大手メディア・クーポンサイト・アプリなどを介してクーポンを配信しています。
ただし、クーポンやポイントバックなどの施策は、一時的に集客をするには効果的ですがキャンペーン期間が過ぎてしまうと効果が下がってしまうので注意しましょう。
オムニチャネル
オムニチャンネルとは、大規模なシステムを投入して実店舗・ECサイト・SNS・アプリなどあらゆるチャンネルを統合し、オンライン・オフラインの様々なデメリットをなくした企業体験をユーザーに提供するビジネスモデルです。
このタイプでは、ECサイトや実店舗やアプリなどの会員IDが統合されてどの販売チャンネルでも同じIDで利用可能となります。
例えば店舗に欲しい商品の在庫がない場合でも、『その場でアプリやECサイトの在庫をチェックして決済を実店舗で行い、自宅に届けてもらう』といったサービスです。
また、SNSで自社の存在を知って『ECサイトにアクセスし、気に入った商品を購入して実店舗に来店した際に受け取る』などの方法も可能です。
有名どころでは、セブン&アイホールディングスの『オムニ7』や、良品計画の『MUJI passport』などがあります。
越境EC
越境ECとは、ECサイトを多言語化させて海外の人に商品を販売するビジネススタイルです。国内消費が下がってきても世界各国を市場にできるため、利益の拡大やリスクヘッジも可能となります。
ただし、国を超えるということはそれなりにハードルが高いです。
まず考えられるのは言語によるコミュニケーションですが、その国にマッチした決済方法や、配送方法、手数料、為替変動なども考慮する必要があります。
また国によって訴求も全く異なってくるため、ターゲットとする国の文化や国民性なども研究していく必要もあります。
これから予想される未来のECサイトのビジネスモデル
現在流行りのビジネスモデルについて説明してきましたが、もう既に時代の波は動いていて、前述のビジネスモデルは古くなりつつあります。
ここからはこれからの未来で流行る可能性の高い、以下の6つのビジネスモデルについて紹介していきます。
- ショールーミング型店舗ビジネス
- パーソナライゼーション
- デジタルフィッティング
- モバイルペイメント・モバイルコマース
- 動画コマース・ライブコマース
- シェアリングエコノミー
ショールーミング型店舗ビジネス
ショールーミング型店舗ビジネスとは、実店舗では商品を実際に見たり特徴をチェックするのみで、実際の購買行動はECサイトで行うというビジネスモデルです。店舗でレジや商品管理などにリソースを割く必要がなく、顧客体験を向上させることができます。
例えば、実店舗で衣服を試着できる『GU STYLE STUDIO』では、自分のアバターが代わりに試着したりコーディネートを楽しめるシステムが導入されています。
また 『JINS BRAIN Lab.』では、実店舗のメガネを試着するとAIが搭載された鏡が「どれくらい似合っているか?」を男女の視点から判断する、という童話の魔法の鏡のような顧客体験を提供しています。
パーソナライゼーション
パーソナライゼーションは、ユーザー1人1人に合わせて異なるマーケティングを行なっていくビジネスモデルです。
AI・ディープラーニングの発達やスマートフォンなどのデバイスの登場で、各ユーザーの趣味や属性、行動分析が可能な時代となりました。
ECサイトでは以下のようにユーザーの行動を解析して、分析の上でパーソナライゼーションを行うことができます。
- メルマガ開封・クリック率などの傾向
- 検索履歴・閲覧履歴・購入履歴・アプリの使用履歴
- 年齢・性別・地域・仕事・家族などの属性情報
このような情報に基づいて、ECサイトやアプリなどでレコメンド機能に反映させたり、より詳細なセグメントで効果の高いメルマガを配信するといった施策を打ち、効果アップにつなげることが可能です。
近年、マーケティングオートメーションツールが登場することで、一般企業でもパーソナライゼーションが手軽に行えるようになりました。
デジタルフィッティング
デジタルフィッティングとは、フィッティングテクノロジーを用いてバーチャルで商品を試着したり試し置きなどができるビジネスモデルです。
例えば、無料購入できるセンサー付きのスーツで自分のサイズを計測できる『ZOZOスーツ』、自宅で部屋の大きさを計測して家具の試し置きができる『LOWYA』など、ECサイトとテクノロジーのコラボレーションで新たな顧客体験が広がっています。
海外では、センサー付きのメジャーやレギンス で自分のサイズを計測し、自宅でバーチャルな試着ができる『XYZE』『LIKE A GLOVE』や、自宅にある服とサイズを比較できる『Vitrusize』なども登場しています。
さらに、デジタルフィッティングのECサイトとSNSを組み合わせた『WSS』では、バーチャルで試着した画像をシェアして友人に良し悪しを見てもらうサービスが展開されていて、ECサイトで困難と思われていた『試着』や『友人とショッピング』を実現させました。
このように技術の進化を取り入れたECサイトは、今後さらに増えていくことが予想されます。
モバイルペメント・モバイルコマース
『モバイルペイメント』とは、スマートフォンでクレジットカードや住所などを入力しなくても、ボタン一つで決済が可能なサービス。『モバイルコマース』とは、スマートフォン専用のアプリやモバイルに最適化されたスマホサイトです。
現在国内のモバイル利用率が増加していて、スマホでのECサイトの利用率も7割以上となりました。
ユーザーがスマホでECサイト利用する場合、電車の中や休憩時間のようなスキマ時間に利用するケースが多いため、個人情報やクレジットカード情報などの煩わしい入力や操作は嫌われる傾向があります。
しかし、モバイルペイメントやモバイルコマースを導入すれば、簡単に決済が可能となるのでコンバージョンページでの離脱を防げます。
動画コマース・ライブコマース
動画コマース・ライブコマースとは、テレビ通販や実店舗などで行われる実演販売を動画やライブ配信で提供し、動画を視聴しながらそのサイトでショッピングができるビジネスモデルです。
『動画コマース』は、予めアップロードされた実演販売の動画を視聴しながら、ユーザーがショッピングをしたりSNSでシェアできます。
また、『ライブコマース』はリアルタイムで視聴しているユーザーとコミュニケーションを取りながら進行していくので、より実店舗の実演販売に近い体験が可能です。
いずれも、商品の使い心地や画像やテキストだけではわからない情報をユーザーに伝えることができ、ライブ配信なら直接質問も可能なので、不安が解消されてコンバージョンに繋がりやすくなります。
シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーとは、企業ではなく個人が所有しているヒト・モノ・場所・乗り物・お金などを、個人にレンタルしたり交換したりするビジネススタイルです。
CtoCとも被りますが、近年ユーザーの所有欲減退の傾向が進み、民泊・ライドシェア・モノ払いなど、様々なシェアリングエコノミーが登場するようになりました。
こういったサービスは、新品の製品を販売するECサイトに影響を及ぼす可能性があり、驚異ともなり得ます。
しかし、不要になった時にシェアしたり売却する目的で高価な商品を購入するユーザーも一定数いますし、シェアリングエコノミーが一般化することで、今までWeb上の通販を利用しなかったユーザーが抵抗なくECサイトを利用し始める可能性もあります。
まとめ:常にアンテナを張ってビジネスモデルをアップデートしていこう
ECサイトのビジネススタイルを『定番・現在・未来』という枠組みで紹介していきましたが、Web上のビジネスモデルは常に進化し続けています。そのため、従来のやり方では時代遅れとなり、売上に影響を及ぼしてしまう可能性も否めません。
もちろん、商品へのこだわりなど独自のスタイルを貫くことは重要ですが、Web上での販売方法(ビジネスモデル)に関しては、常にアンテナを張って最新のものにアップデートしていかなければなりません。
この記事のおさらいポイント
・現在は、バラバラだった様々な販売チャンネルや媒体の統合や、従来のデメリットを解消するビジネスモデルが目立つ
・未来は、従来のECサイトではできなかったことを技術の進歩で可能にしたビジネスモデルが予想される
ECサイトは、一から構築すると莫大な費用がかかってしまいますが、弊社はWordPressを使用し、最小限に費用を抑えたECサイトの構築が得意です。ECサイトの制作で費用が気になるという方は、お気軽にご相談ください!